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Dr.Tomita

プロフィール

富田直秀(Naohide TOMITA)材料工学出身。もと整形外科医。現在は医療工学、デザイン、再生医療、バイオメカニクス、バイオトライボロジーなどの研究をしています。

研究とは切り離しておりますが、学生の頃から少しずつ創りためている文章、絵、写真なども公開しています。興味のある方は右のMENUからお入りください。

E-Mail: tomita.naohide.5c@kyoto-u.ac.jp
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2009年02月20日

医工連携:円座のブレインストーミング

 年老いた母親がこうつぶやいているのを聞いた.「最近はね,病院に行っても,いろいろと先生に相談しないことにしているの」その理由をたずねると,「先生に相談すると,すぐに検査しろ,とか,これを試してみましょう,とかになるでしょう.」だそうである.医療技術の開発研究を行っている私にはちと耳の痛い話である.
 社会にどのような医療や健康の技術が必要とされているのか,そもそも真の「健康」とは何であるのか.こういった国民的な議論のないままに,我々研究者が研究費獲得のために描いてみせる医療技術の夢や市場原理に方向づけられた医療開発が進められているのではないだろうか.研究者が研究費を必要とするのも,企業が利潤を追求するのも,それぞれの立場では仕方がないが,しかし,このままではいつか新しい技術が医療現場を混乱させてしまうことになるだろう.マスコミや一般市民を交えた円座での会話が今こそ必要なのではないか.何が本当に「健康的」であるか,といった文化の指標は,われわれ専門家だけの閉じた開発環境の中からは生まれてこない.

 、ということで、先日「次世代ウェルネス産業」と題して、学生、主婦、企業研究者、医師、エンジニアなどを集めてブレインストーミングなるものをを行ってみた(ファシリテーターをするのは初めての経験でした)。それぞれ個人の健康観の違いにびっくりし、またそれぞれの意見に納得した。ある人は、忙しいときこそ元気だ、と言い、ある人は、スーパーで売ってる野菜と田舎の野菜とは味が全然ちがうと言う。またある人は精神的な不健康が大問題だという。総じて、医療健康技術が発展しているのに、今の世の中は不健康になっているという。
 ではどうしたらいいのか、という問に、ラジオ体操、おばあちゃんの知恵を大切に、万笑計、自給自足キット、などなど様々なアイデアが噴出して、なかなかおもしろい会であった。今のところは成果といって何もない状態だが、企業からの参加してくれていた一人(山中さん)がうちの研究室に研究員として来てくれることになった。これが大きな成果か、、

 医工連携は文化の問題と切り離して考えることはできない。市場経済の宿命として、医療もグローバルな貨幣価値としてのサービスを生み出し続けなければならない。しかし、きちんとしたコミュニケーションなしに医療技術のみが進めば、技術は医療を根本から崩壊させてしまう凶器ともなり得る。政府も、また研究者の多くもこの危険性に気づいていない。





posted by トミタ ナオヒデ at 21:47| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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