富田直秀(Naohide TOMITA)     e-mail: tomita.naohide.5c kyoto-u.ac.jp  ←を半角に変えてください。


Dr.Tomita

プロフィール

富田直秀(Naohide TOMITA)材料工学出身。もと整形外科医。現在は医療工学、デザイン、再生医療、バイオメカニクス、バイオトライボロジーなどの研究をしています。

研究とは切り離しておりますが、学生の頃から少しずつ創りためている文章、絵、写真なども公開しています。興味のある方は右のMENUからお入りください。

E-Mail: tomita.naohide.5c@kyoto-u.ac.jp
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2012年05月22日

「伝える」

  あるテレビ番組で新開発人工膝関節の「寿命が30年!?」などと報道された件,あらためて,科学における事実とその伝え方の問題を考えさせられた.おそらく人工関節をまったく知らない人が,摩耗量が2/3になったと聞いて再置換までの平均年数約20年を30年にしてしまったのだろう.人工関節はすり減ることによって寿命をむかえるのではない.手術の正確性や摩耗粉に対する生体の反応,材料の酸化疲労破壊などの多数の要因によって再置換までの年数が決まってくる.摩耗粉の生体反応性も摩耗量とは直接には関係がなく,またさらに新開発の人工膝関節は,摩耗よりも酸化疲労現象の抑制を主眼に開発された材料なので上記の予想方法は全くの見当違いだ.もちろん長期に用いられる期待は大きいが「30年」には何の根拠もない.
 これらのことを説明してしっかりと理解してもらうのにはポンチ絵などを用いた相当量の説明時間とわかりやすい表現が求められるのだろう.「わかりやすさ」には正しさのみならず「安心」「不安」「信用」などのそれぞれの価値観に対する共感の能力も含まれる.その説明を最後まで聞いてもらえるだけの話術も必要になる.正確な科学知識と,このコミュニケーション技術の双方を身につけた人材は,世の中にほとんどいない.
posted by トミタ ナオヒデ at 08:36| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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