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Dr.Tomita

プロフィール

富田直秀(Naohide TOMITA)材料工学出身。もと整形外科医。現在は医療工学、デザイン、再生医療、バイオメカニクス、バイオトライボロジーなどの研究をしています。

研究とは切り離しておりますが、学生の頃から少しずつ創りためている文章、絵、写真なども公開しています。興味のある方は右のMENUからお入りください。

E-Mail: tomita.naohide.5c@kyoto-u.ac.jp
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2012年07月23日

関係性の中に存在しているのがイキモノであり,アートでもある

関係性の中に存在しているのがイキモノであり,アートでもある

  京大デザインスクール(http://www.ai.soc.i.kyoto-u.ac.jp/design2/index.html)のサマースクール用ワークショップをいろいろと考えている.私は京都市芸大の日本画科の先生方や森桃子さんと一緒に,アートやイキモノの視点を取り入れたワークショップを提案している.「機能性とアートがつなぐ642ミリメートルコンテスト」と題したその内容の詳細はまたいつかご紹介するとして,問題はいかにアートやイキモノの視点をデザインの視点の中に盛り込むことができるか,だ.たとえば,ある美術系のワークショップでは,朝とりたての野菜をよく見て描く練習をするそうだ.とれたての野菜の新鮮な感じを葉の形やら色やらの特徴で表現するのだろうか,と聞くと,いや特定の形や色というよりは,その新鮮さそのものの感じ,なのだと言う.エンジニアの私は,絵の要素は結局は形と色なのだから,そこに「新鮮さ」の特徴が現れるはずだ,,と思ってしまう.そこで,この土日を使って自分で試してみた.私は植物を描いた経験がほとんどなかったので,まず,いろいろな植物の写真を撮って,その形をなぞって形の特徴を写し取ってから絵に描いてみた.その中から気に入った植物の現物を手に入れると(この現物支給がなかなか難しかったのだが),今度は触ったり匂いをかいだりした後に現物を目の前において描いてみた.
  下に示した絵(White Dragon 1と2)がそのときに描いた2枚の絵だが,さて,どちらが写真から描いた絵で,どちらが実物を「みた」絵か,おわかりになるだろうか.描く最中にも描いた後にもずいぶん創作を入れてしまったので,また,この写真では細部が見えないので見分けるのは難しいのかもしれない.どちらの絵がデザインとして面白いのかは別問題であるとして,どちらが生き生きとしているかは(少なくとも描いた本人にとっては)明らかである.芸大の先生方が言われた,特定の形や色ではない新鮮さの感じ,も,なるほど,と納得できる.これは,絵の上手さや熟達とは関係がなく,誰でもが自分に正直に描いてみることによって感じ取ることができるのではないだろうか.繰り返すが,デザインとしての面白さは別の問題である.生きている対象を見ているとき,私たちはその周囲の風や気温や触った感触や匂いまでも一緒に「みて」いる.対象のイキモノと私とその周囲の関係性の中で,私は無意識にどこか細部に集中してどこかを無視している.そうしてそれは時間とともに移り変わっていく.形や色は絵に固定される物理的要素だけれども,たとえその形や色が実物に似ていなくとも生き生きしている感じは絵に現れる時がある.それはおそらく,絵とそれを見る人と周囲の関係性も常に移り変わっているような時なのだろうと思う.なにも描く人と対象と周囲の関係性が,絵を見る人と絵と周囲の環境の中に正確に再現される必要はない.そっくりに再現させることよりも,関係性が動いていて固定されない「しくみ」に生き生きさの根本があるようだ.さらにいえば,おそらく,結果が原因を変える「しくみ」にその秘密あるのだろう.たとえば,「みる」結果が「みる」動機を変化させるしくみが次々と多様な関係性を生んでいく.なるほど,多様で相同な関係性の中に存在しているのがイキモノであり,アートでもある.その視点からみると,時間と空間に固定された「モノ」(や「概念」)は,移りゆく関係性の残骸にすぎないのかもしれない.
  私の話はすぐにややこしくなるが,これは頭で考えるのではなく,とにかく自分でやってみないとなかなか共感を得てもらえないだろう,,,はてさて,ワークショップをどうしようか,,,,.

PS:後でこの絵を森さんに見ていただくと,「まだしっかりと対照を『みて』いないでしょう」とのこと.なるほど,おそらく,私は「みる」という時間の意味もまだ全くわかっていないのだ,,



White Dragon 1     by 富田直秀 Naohide TOMITA.JPGWhite Dragon 2    by 富田直秀 Naohide TOMITA.JPG


posted by トミタ ナオヒデ at 15:56| アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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