富田直秀(Naohide TOMITA)     e-mail: tomita.naohide.5c kyoto-u.ac.jp  ←を半角に変えてください。


Dr.Tomita

プロフィール

富田直秀(Naohide TOMITA)材料工学出身。もと整形外科医。現在は医療工学、デザイン、再生医療、バイオメカニクス、バイオトライボロジーなどの研究をしています。

研究とは切り離しておりますが、学生の頃から少しずつ創りためている文章、絵、写真なども公開しています。興味のある方は右のMENUからお入りください。

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2014年11月13日

以後,気をつけてください

「以後,気をつけてください」

部長 富田 直秀
(工学研究科医療工学分野)

  「あなただけの身体ではないのですから,,」という言葉は,テレビドラマを見ていても頻繁に登場しますし,また若いころから少々無茶な練習や働き方をすることの多かった私は,個人的にも周囲からよくこう言って注意されました.しかし,私のほうからこの言葉を発したのは初めてのことだったのではないかと思います.先日,目にボールを受けて網膜剥離を受傷したO君を見舞いに行って,思わずこれを口にしたのですが,このあまりに「あたりまえ」なことばは,むしろ言った後に,言った本人の私を動揺させています.
  O君のご両親のことを思って吐いた言葉なのですが,だからといって,もちろんのことO君の身体がご両親のものだ,などと言っているわけではありません.小澤竹俊という終末期医療に長年たずさわって来られた先生は,自己の存在の意味を,自己決定できる「自律存在」,未来を展望できる「時間存在」,そうして周囲との関係性の中にある「関係存在」という三つに分類して述べています.最後の関係存在とは,たとえば,私が私であるという主体性が、人と人との関係性によって支えられている,ということを表しています.つまり,「あなただけの身体ではないのですから,,」とは,身体の所有のことを言っているのではなく,ご両親に限らずO君との関係性によって支えられている他の多くの存在がある,ということなのだと思います.
  自分の存在によって支えられている存在がある,という至極あたりまえのことをなかなか素直に受け入れることのできない年頃に,学生諸君はいるのかもしれません.周囲の価値観から独立して,自身の価値観に従った自律した未来を切り開こうとしている諸君にとって,言い換えれば「自律存在」と「時間存在」を自身の力で引き寄せようとしている諸君にとって,周囲との関係性の中に漫然と浮遊しているような「関係存在」はむしろ主体性の否定のように感じられるのかもしれません.しかし,周囲との多くの関係性の中に力まずに身をおいて流れを「みる」ことこそが,最も先鋭で個性的な主体性を成立させ,実は、直感的な予測を鋭敏にして事故を防ぐ一つのコツでもあることを,どのように言葉に表して説明すればいいのでしょうか,,.素直に(部長らしく)「以後,けがをしないよう気をつけてください」とだけ書いておけばよかったものを,書き始めたこの文章の終わりが見えないまま,自身の言ったことことばに未だに動揺したまま,ここで筆をおくことにします.



posted by トミタ ナオヒデ at 18:23| Comment(0) | TrackBack(0) | プロフィール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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