富田直秀(Naohide TOMITA)     e-mail: tomita.naohide.5c kyoto-u.ac.jp  ←を半角に変えてください。


Dr.Tomita

プロフィール

富田直秀(Naohide TOMITA)材料工学出身。もと整形外科医。現在は医療工学、デザイン、再生医療、バイオメカニクス、バイオトライボロジーなどの研究をしています。

研究とは切り離しておりますが、学生の頃から少しずつ創りためている文章、絵、写真なども公開しています。興味のある方は右のMENUからお入りください。

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2008年01月11日

医療文化

電車の中で医学研究科の富和清隆先生にお会いした。富和先生は遺伝カウンセリングのお仕事をされている小児科の先生だ。先生は、米国流の医療現場の合理性がいつまで現場に通用するのだろうか、と懸念を持っておられる。「医者も患者もアメリカ仕立ての舞台に立って、米国語から翻訳したせりふを使った演技に精進することになりかねない」、と言われる。
 おそらく、先生は医療を文化として捉えようとされているのだろう。私は医療技術開発の立場で、また現在は臨床現場を離れてしまっているので、状況は全く異なるのかもしれないがが、やはり富和先生と同じような危惧を持ち、同じように医療を文化として捉える必要性を感じている。この医療文化の具体的な内容を述べだすととても時間がかかるので、それはいつか時間のあるときにでも書かせていただこう。とにかく、医療開発の分野においても原理原則をしっかりと実行して医療技術の実用化をしようとすると(もちろんそうしなければならないが)、患者の理解や幸福といったことからやや脱線して「グローバルの舞台に立って演技をする」といった事態に陥りかねない、と思うのである。
 私は開発研究者なので、もちろんのこと開発推進賛成派である。最近話題になっているiPS細胞への期待などによって、日本において停滞している新しい治療技術の実用化に道が開けるのではないだろうかと大いに期待をしている。しかし、新しい治療技術の臨床への導入では「医療文化」といった視点を決して忘れてはならないと思うのである。何度も言うが、法的そうして道義的な原理原則をしっかりと守って医療技術の実用化をしなければならない。それは必須である。ただその原則だけが突っ走って、医療が文化であることを見逃してしまうと、つまり、客観的な鳥の目ばかりが先行して、個々の生活から見た虫の目の視点が忘れ去られれば、新しい医療技術によってかえって医療現場が混乱するか、または、いくらお金をつぎ込んでも日本の再生医療技術がバブルとなってしまうか、そのどちらかであろうと思う。いや、その両方なのかもしれない。
 私の言は、いわば机上の空論である。富和先生のように現場から語られた医療文化には、事実の説得力がある。
posted by トミタ ナオヒデ at 12:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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